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新潟地方裁判所 昭和61年(わ)49号 判決

本店所在地

新潟市酒屋町三二七番地四

有限会社協和土地

(右代表者代表取締役 斎藤康男)

本籍・住居

同市酒屋町四七五番地

会社役員

斎藤康男

昭和八年一月三一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官松本正則出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社協和土地を罰金一三〇〇万円に、被告人斎藤康男を懲役一年に処する。

被告人斎藤康男に対し、この裁判の確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社協和土地は、肩書地に本店を置き、不動産業を営むものであり、被告人斎藤康男は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人斎藤康男は、被告人会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、造成費及び支払手数料等を架空ないし水増し計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五六年二月一日から同五七年二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が八〇八八万八七四九円であつたにもかかわらず、同五七年三月三一日、同市営所通二番町六九二番地の五所在の所轄新潟税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇七九万八三九三円でこれに対する法人税額が二五八万一一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を捷出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額四五四八万五五一〇〇円との差額四二九〇万四〇〇〇円を免れ

第二  同五七年二月一日から同五八年一月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が三二一〇万三一八四円であったにもかかわらず、同五八年三月三一日、前記新潟税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八七〇万六四九一円でこれに対する法人税額が一六五万八〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一八三〇万九三〇〇円との差額一六六五万一三〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  保苅美彰及び川上義治(二通)の検察官に対する各供述調書の謄本

一  大竹与市、木伏吉古、佐藤正俊(四通)、阿部清治、中島武勝、小川富枝、川井三治郎(二通)、白井定男、片野孝男、斎藤イツ子(五通)、中野高治及び岩淵健一(二通)の大蔵事務官に対する各供述調書

一  五十嵐東栄、旨崎終二郎、高橋静男、竹内恵美子、坂井俊男、谷山直人、江部悦雄、青瀬信次、淵岩一正、鈴木繁、伊藤博夫、石塚栄太郎、中野高次、岩淵健一、酒井千代松及び大竹清作成の各答申書

一  古田島正敏作成の供述書

一  石塚栄太郎及び澤栗倉一作成の申述書

一  新潟税務署長(一〇通)、新潟県法人・自動車県税事務所長(三通)及び新潟市長(二通)作成の各証明書

一  大蔵事務官作成の調査書(一六通)及び報告書(二通)

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  押収してある総勘定元帳二綴(昭和六一年押第一八号の1、2)、伝票四綴(同押号の3、4)及び売買台帳七綴(同押号の5ないし11)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官(二通、うち一通は謄本)及び大蔵事務官(一二通)に対する各供述調書

一  被告人作成の答申書六通

(法令の適用)

一  罰条

被告人会社につき 法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項

被告人につき 法人税法一五九条一項

一  刑種の選択(被告人について)

懲役刑

一  併合罪の処理

被告人会社につき 刑法四五条前段、四八条二項により罰金額を合算

被告人につき 刑法四五条前段、四八条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重

一  懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官  林潔)

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